恋する事件簿【完】
「―――戻ろう」



「調べるつもりで来たんじゃ?」



「死にたいなら居れば良い」



どういう意味だろうか。

野神刑事は、近くに居た消防士に「圭は?」と訊ねた。



「野神さんなら奥かと」



「旧舎からの煙りが強い。研究室があった筈だから、そこで何かあったんじゃない?
これは事件じゃない。事故」



「確認して来ます!!」



消防士は入り口に向かって走る。

その後ろを、女性が2人の子供を抱えて現れた。



「慌てないで大丈夫。私が1人、抱きますから」



声を掛けた野神刑事は、女の子を1人、抱き上げた。
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