何度も…何度でも君に恋をする
「華凛ちゃんごめんな、鍵閉めてええよ!」

「あっ、うん…」



いつの間にかクラスメイトは教室から出てって私と美桜だけになってた。

小春ちゃん達のクラスと合同練習だから遅れるのはまずい。


「みんな行ったの気づかんかったぁ!あたし達も怒られるし行こっ!」

「急ごっ!急ごっ!私罰として何周…とかあるやん?それだけは避けたいねん」




急いで廊下を走った。

足の長い美桜は空気みたいに滑らかに走るのに、鈍臭い私は「すいません」「あっ、ごめんね」って…。

人にぶつかってばっかり。



あの廊下を曲がればあとは下駄箱…。





―ドン―



角を曲がった瞬間、お決まりのように誰かにぶつかった。

ドシンって衝撃で今走ってきた距離ごと吹き飛ばされそうな感覚。

尻もちで腕までついたせいで手首がじんじん痺れてきた。




「いっ…つー……」

ぶつかった相手も痛かったみたい。だって……、話す声が苦しそう。


痛みを我慢してぶつかった人に謝ろうと顔を上げた。



「本当ごめんなさい!私前見て…………あれ?奏くん…?」

「何……華凛ちゃんやったん?…っつー…いたたた……すごいタックルやなー…」



どうやら私は奏くんの胸辺りにすごい勢いでぶつかったみたい…。

奏くんは痛そうにさすりながら腕を伸ばして私を立たせてくれた。


< 110 / 154 >

この作品をシェア

pagetop