何度も…何度でも君に恋をする
「華凛さー…」

「えーっ?…ちょっ、聞こえな……」

「奏に……、料理食わした事あんの?」



歌ってる声で何を言ってるのかわからなかった。

いきなり料理の話しになってるなんて…。


何で……?




「…ないけど……?」

「…ふーん………じゃあ何でお前が料理上手いとか知ってんねん」

「…あっ……」




さっき奏くんが言ってた“料理は上手いのに何でお菓子作りは苦手やねん”って言葉。

それは…、うちの事情を知ってるからなんだけど。



「あのー…、あれ、私今学期から調理部に入ったからやん?料理は得意って言ったし。……3階で販売してるから…後で行く…?」

「部活入ったん?」

「うん……毎日出なくていいみたいやったから…」

「……じゃあ、これ終わったら行くか…」




何とか納得してくれてホッとした。

家の事を…あんまり話したくないんだ。


それに、奏くんとの秘密にしておきたい。




斜め後ろを見てみたら、ぎこちないけど……2人はちゃんと話してる。

自分で作った時間なのに。

うん……、結構苦しいもんだなー。

仲直りしたって事はこれからもっとこんな場面が増えるんだよね。




奏くんの笑顔が増える…。


増えていく…。


< 130 / 154 >

この作品をシェア

pagetop