何度も…何度でも君に恋をする
夕陽が沈んで校庭に人が集まり始めた。
これからは後夜祭の時間。
中央に設置されたキャンプファイアーの火の周りにはたくさんの生徒。
うちの学校はこれをきっかけにカップル成立が多いいらしい。
「ねぇねぇ、葛西くん見んかったー?」
「俺も松崎さん捜してんねん」
あちこちで聞こえる誰かを捜す声。
そう………、誰か。
「みんな告白するのに必死やねー」
「美桜だって人事じゃないやん…。さっきから何回も声掛けられてるくせに…」
まるで興味がない美桜にツッコミを入れた。
何でも学校の伝統らしく…、キャンプファイアーの火が消える前に告白して、制服のネクタイを交換すればその恋は永遠に消える事はない…って話。
でもとりあえず好きな人がどこにいるか捜す事のが先決。
この広い校内で……。
「あの……新平くん………ちょっとええかな…?」
「あーー……、ネクタイの事やったら俺はあげへんけど………」
新ちゃんもモテるくせにさっきからこの調子。
女の子の話しすら聞いてあげないなんて…。
「ちょ、新ちゃん!何の話しでも聞く前に断るなんて失礼やで!!…ほら、行って!」
「はっ?…何やねん、押すな押すな……」
強引に背中を押して女の子の方に向かせた。
新ちゃんの照れた時のクセ…。
首の後ろをかきながら彼女の歩く方について行ってる。