何度も…何度でも君に恋をする
「だから…この店に連れて来たかった……」

「んん?……好きな人がいるのとこの店…何も共通点ないやん」


私が言った言葉にクスッと笑って、琴美さんが差し出した物。



「紙ナプキン…?」

「これ……読んで」


手渡された紙ナプキンには……











「BELOVED…?」

「そう、BELOVED…」


流れるような筆記体でBELOVEDと書いてあった。

喫茶 BELOVED……。


サブタイトルみたいな物かな?



「これが何…?」

「この意味知らん?………これな…、日本語に訳すと…「愛しい…って言うんやで」」



また気づかないうちに側に立っていたマスターが答えた。

おすすめケーキを手に持って悪戯っ子のように笑う。



「俺の奥さん早くに亡くなってなー…。奥さんと立ち上げた店だから俺にとっては全てが愛しいねん……これからも愛しい奥さんと店の為に頑張ろ…思てな。奥さんが亡くなった後につけたんや」


とても寂しそうな瞳で。

でも…、愛しい奥さんを思い出すかのように微笑んだマスター。


子供の私にはわからないような想いが込められてる。

ここに通うお客さんはどんな愛を感じるのだろう。





私が大人になった時……、どんな愛を持ち込めるのかな。




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