何度も…何度でも君に恋をする
「…あの…さ………奏くん…おるやん?……好きやって気づいたの最近やねんけど…、奏くんには好きな人………おるねん…」
「…それって……本人に聞いたん?」
「うん…本人…。………しかも……私の友達……さっき会った子やねん」
「…………」
「中学の時に付き合ってたみたいで……、奏くん…忘れられへんって…」
「そうなんやー……」
「絶対美桜も好きやねん…。………2人の態度見てればわかる…」
切ない瞳で見つめる奏くんも。
その視線に気づいてるくせに意地を張りつづける美桜も。
付き合うきっかけを伺ってるようにしか見えない。
もういっその事、早くくっつけばいい……って、何度思った事か。
「何だかなー…。自分を見てるみたいやね……」
呆れたようにため息をついて、そっ…と私の手を握った。
その手は……とても温かかった。
泣けちゃう位温かくて…、琴美さんの優しさが染み込んでくるみたい。
「…ウッ……ヒック……」
「あたしもな、慶一郎さんの中に棲む……華凛ちゃん達のお母さんに何度嫉妬した事かわからへんわ……彼の心にはいつも想う人がいて。…絶対に敵わへん相手やねん…」
「……ンッ…ヒック……」
「でも……、華凛ちゃんは違うやん?…まだ奏くんに対して頑張れるやん…?」
琴美さんが何を言いたいかわかった。
この恋を……
諦めるな…って事だよね?
まだ頑張れる……。
まだ始まったばかり……。
そう言う事でしょ…?