何度も…何度でも君に恋をする
「奏くんとは…秘密で付き合ってた。……彼って…あんな調子でモテるやん?中学でもめっちゃモテてん……」



口から言葉がこぼれるように、静かに美桜が話し出した。

高く透き通った声は、どんなに小さくても耳に入ってくる。


桜みたいな小さな唇が震えてる事……。








気づけなくて…ごめんね。










「あたしな…、前も言ったけど友達付き合いが下手やねん。……絶対嫌われちゃう。友達が離れてくねん…。だから……、奏くんと付き合ってるのも知られたらあかんって思っちゃったねんなー…」



遠足の時だった。

急に美桜が、私と小春ちゃんと友達になれて良かった…って言ってきた事があったっけ。


美人だからやっかまれるのかな?って軽く考えてたけど…、全然軽くないじゃん。

こんなに昔から悩む程、美桜にとっては大事な事だったんだ…。



「告白されて…、あたしも好きやったから嬉しかった。……けど、奏くんの事好きな子も多かったから…秘密で付き合おう……って…」

「それで……バレちゃったから別れたん?……そんなふうに簡単に別れちゃうなんて……「違うっ!!」」


ジーンズの上で拳を握りしめてる。

美桜の……声が、震えてた。












「違うねん…。あたしが弱すぎて……、奏くんを傷つけるしか出来へんかった…」





新ちゃん達の笑い声さえも聞こえなかった。

ただ…、自分の心臓の音と風で動く足元の枯れ葉だけが目に映る。



今の私は……どんな顔なんだろう。





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