何度も…何度でも君に恋をする
「その時一緒に行動してた友達に言われてん……。奏くんが好きやねん、協力してくれるよね?…って………フフッ…、あたし最低な理由で彼を振ったんやで…」




彼女の長い髪が揺れた。

髪で隠れた表情は…、私からは少しも見えなかった。


わかるのは、握りしめた拳と同じように…細い肩が震えてたって事。




抱きしめてあげたいと思った。

その頃の美桜を……。


今も切ない心で奏くんを想う美桜を……。





「奏くんも…友達も選べへん……ウッ…ック…、でも…あたしだって好きなのに……でも…友達が離れてくのが怖くて…、奏くんから離されるより離れた方が怖ない………そう思う事しか出来ひんかった…」

「…ウウッ……美桜ー……」

「あたし最低やねん…ほんま……。奏くんに優しくしてもらう資格ないねん……」



私よりも少しだけ大きい肩。

華奢で折れてしまいそうな美桜の体を…、力いっぱい抱きしめた。




両手にギュッと力を込めて、過去の美桜ごと……包み込む。

何て切ない想いなんだろう。



とてもじゃないけど私の気持ちなんて言えないよ。


そんな純粋な想いだったなんて……。






「ごめんね美桜……ごめん…」

「…何で華凛が謝るねん……。ウジウジしたあたしでほんまごめんー!」





泣きながら2人で抱き合った。

周りなんて気にならない位泣いて、泣いて…。


そして思った事。





私は……、私だけは。

絶対に美桜を裏切ったりしない。




美桜を大切に思うから…。




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