何度も…何度でも君に恋をする
桜の君…、奏くんの笑う顔を見てたら私も笑いたくなった。
あの日の顔が嘘みたい。
やっぱり泣いてたなんて私の見間違いだったのかな…。
寂しそうなんて…、思い過ごし…?
「とりあえず行こうや。どこ行きたいんやったっけ?」
笑い合ってた私達を新平くんが先導して動き始めてくれた。
輪からはぐれないように歩き始めた時…くいって袖が引っ張られる感じがした。
私の左腕には今にも泣き出しそうな美桜…。
「美桜…?どうしたん?!具合悪そうやん!」
「…う…ん……」
折れそうに細い腕を掴んで顔を覗いた。
真っ白な肌はいつものような赤みがなくて、少しだけ青ざめてるように見える。
さくらんぼみたいな唇を噛み締めて…、涙を堪えてるみたい。
「どこかベンチに…」
顔を上げた瞬間だった。
奏くんがこっちを見てて瞳が合った…。
真顔で見るから逸らせなくて、美桜の腕を掴んでる事さえ忘れそうになる。
「どうかした?!」
小春ちゃんの声にハッと我に返った。
まるで時間が止まってたかのように…ゆっくりと動き出す。
「あっ、あの…、美桜が具合悪いみたいやねん。顔色も良くなくて……」
「ほんまやー、大丈夫?休憩室連れてこか?」
「じゃあ私が連れて…」
「平気!!」
小春ちゃんとの会話に美桜の声が割り込んできた。
辛そうなのに笑顔を浮かべてる。