何度も…何度でも君に恋をする
きらびやかな入口にはボーイさんが立っていた。

私はまだ大丈夫として奏くんの服装は……、あまりにもこの場所では浮いてる。


破れたジーパンにTシャツ、腰の部分にキャップをつけた格好。

声をかけられないかドキドキしながら中まで進んだ。



「あの…連れがおるんです。彼女送ったらすぐ帰るんでこんな格好ですけどいいですか…?」

扉の近くに立ってる支配人らしき人に声をかけた。

私が心配してた事なんて初めから頭に入ってたみたいで、自ら話つけに行ってる。


「構いませんよ。お連れ様の席までご案内しましょう」



笑うと一層優しい顔になる支配人さんについて奥の席に進んだ。





…奏くんってば………。


後ろ手にピースしてるし。

確かに奏くんの作戦が上手くいったけど普通は入れてくれないんだから…。



緊張してた事なんてすっかり忘れて2人でクスクス笑ってた。


支配人がピタッと歩くのを止めて、

「蓮実様…お連れ様がお見えです」

って私達を席に通す。



俯いたままの私を励ますように奏くんがツンって肘で突いてきた。


「…華凛………待ってたんやで…」

「……ご…めんなさ……」

「……ええねん…、お父さん…華凛は絶対戻ってくるって……信じてた…」



お父さんの言葉に顔を上げたら、ゆっくり頷く笑顔があって。

逃げないで良かった…って思ったんだ。


奏くんに連れてきてもらったけど……、あの時逃げ出してたらお父さんのこんな笑顔はもう見れなかったかもしれない。



< 57 / 154 >

この作品をシェア

pagetop