何度も…何度でも君に恋をする
「ありえへんわ…」
「そうやねん。先生な、私が小さいからって前の席に行かせようとすんねん。遅刻者が前に行くなんて恥ずかしいやんなー?」
「…あたしが言うてんのはそこやない!」
「えっ?」
「入学式に遅刻なんてほんまにありえへん!」
「…テッ…テヘッ……」
「テヘッ…やない!しかも遅刻の理由が何やって?」
「……桜見ててん。……めっちゃ綺麗やってんよ」
「あっ…」
「あっ…?」
「…アホーーっ!!」
教室に戻る渡り廊下で怒鳴るのは小学校からの幼なじみ。
上條 小春 (カミジョウ コハル)
マイペースな私と違ってテキパキ動く小春ちゃんは昔からお母さんみたいな所がある。
叱ったり励ましてくれたり。
私にとって大切な親友。
入学式が終わって教室に帰される中、今は小春ちゃんの説教を聞いてる…って訳。
相変わらず頼もしい。
そんな頼もしい小春ちゃんと私は隣のクラスらしい。
まぁ、それも掲示板に張ってあるのを小春ちゃんがチェックしてくれたから知ったんだけど。
知らない人が多いクラスは正直不安ではあるけど、小春ちゃんが3組…私が4組で何かと合同授業があるらしく…。
気が小さい私はちょっぴりホッとしていた。
「じゃあね。出遅れたんやからしっかり友達作るんやで!」
「あっ、小春ちゃ…」
教室に着くなり置いてきぼりになった。
小春ちゃんのその怖じけづかない性格…少しでいいから分けて欲しい。
小さくため息をついてロッカーに荷物を入れようとした時…
―ドカッ―
――バサバサ――
「きゃっ!」
「あーーーっ!!」
頭の上の衝撃音と共にノートやら筆箱やら…、鞄の中身が一斉に降ってきた。
運動音痴な私がもちろん避けられるはずもなく、後頭部で荷物をもろキャッチするはめに…。