何度も…何度でも君に恋をする
「ど…うして…?…私には知られたくなかったって…」

「あー…うん。……だってオレ…卑怯者やねん」



歩道橋の下を通る車の振動。
つま先から私の体に伝わってくる。

答えを聞くのに緊張してるからだと思ってた…。



さっきから車のせいだと思ってたのは……、私の体の震えだった。



「……ごめん………」







奏くんがそう言った瞬間…、眩しかった彼の顔が歪んでゆらゆらしてきた。

泣きたくなんてない。


奏くんの前でなんて……絶対泣かない。




「オレな…、中学の時みぃと……美桜と付き合ってた。……上手くいってたんやけど。…少なくともオレはそう思ってたんやけど…」

「…違ったの…?」

「…うん……違った。…いきなり振られた。……ほんまは……めっちゃ好きなくせにな。…あっさり受け入れてカッコつけただけやねん」

「………」

「華凛ちゃんの…純粋さを利用した。……華凛ちゃんに会いに行ってたのはもちろんなんやけど…」






どうしよう…。





「みぃに……」




苦しい……。





「……会いたかった………」










高橋って呼んでた奏くんは作り物だった……。


本当は…、愛しそうにみぃって呼んでた。








今頃気づいたって……遅いんだ。





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