Loss of memory ーアルコバレーノの奇跡ー
未定
私が城にきて、1週間が経った。
最初は起き上がることすらもできなかった私の体は、順調に回復へと向かっていた。
今では熱も下がり、後は傷が癒えるのを待つのみとなった。
「アナディア様!!!!いけません、まだ完治なさってないのに無理をされてわ!!!!」
「でもリリア、私はもう動けるわ?
キルト様や皆に少しでも恩返ししたいの。だから、働かせて?」
使用人、リリアは慌ててアナディアが手にしていたぞうきんを奪う。
そんなリリアにアナディア拗ねてみるが、リリアには通用しない。
「いけません。
アナディア様のお気持ちはありがたく頂戴いたします。
けど、キルト様が大切になさってるアナディア様を働かせるなんて、
キルト様にばれたら私のクビがとんでしまいます!!!!!」
「キルト様の心はそんなに狭くないわ。大丈夫。」
「いいえ!!それに、これは私の仕事。
アナディア様はごゆっくりなさってください。」
リリアには敵わないな、としぶしぶ自分の部屋に戻る。
ベッドに潜りボーッと真っ白な天井を眺める。
リリアの気持ちは嬉しいけど、正直暇でしょうがない。
こんなことなら動いてる方がよっぽどマシだ。