49日間
1.消失
始まりは悠平からの些細な一言だった。
「・・・俺、引っ越すことにした。」
私は言葉が出なかった。
高校を卒業するまであと1ヶ月。
卒業と同時に私、彩海と、
3年間付き合っている悠平は
同棲するはずだった。
それなのに突然の引っ越し。
しかも行き先はアメリカである。
悠平は父親の仕事を継ぎたいと、
静かにそう言った。
「区切りがついたら、
彩海の事、必ず迎えに来るから。」
ドラマのような台詞。
悠平はきっと迎えに来てくれるだろう。
信じている、
信じているはずなのに、
私はそれを受け止められなかった。
「・・・しばらく会いたくない。」
やっと口から出た言葉は、
ひどく素っ気ないものだった。