喫茶冬景色
俺はそう言った。
 
そう言うもんだろ?
 
「・・・。」
 
黙った。沈黙で返事されると困るんだけど。
 
━━でさ、
 
       はにかんだ。━━
 
多分、ありがとうって言いたかったんじゃないかな?彼女の八重歯が妙に印象的だった。
 
俺がじっと、彼女のほうを覗き込むと彼女も俺の目を覗き込んで来ると、俺の心の声が止まった。
 
「何?」
 
「うん。別に。」
 
こんな会話。
 
ひどいよな?
 
俺の本音は別に、じゃないんだよね。
 
歩いてる間、コイツ本当に大丈夫なのかなってずっと思ってた。
 
誰だって気にするんじゃないか?
 
「あっ。うん。大丈夫なのかなって思って。」
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