喫茶冬景色
嘘ばかり並べやがって。
 
冬は自己管理の下ジョギングだけで水泳部活動なんてしてないだろうが!
 
って、本気で怒ってた。
 
「もう、ホントあいつらと来たら・・・」
 
怒ってたってのは嘘だな。
 
俺は、あの時、怒るフリして胸の高鳴りをごまかそうとしてたんだ。
 
それをじっと見ていた鈴木。
 
なるべく、目を合わせないようにしてたのに合っちゃった。
 
━━目が合った瞬間、
 
        時が止まった━━
 
「ふぅぅぅぅ。」
 
そのとき、彼女が深いため息をついたように思えた。
 
「あの、森君。」
 
ぅぅぅ。
 
俺の体が少しこわばった。
 
落ち着け。
 
落ち着け俺。
 
何緊張してるんだ?
 
頑張れ。頑張れ。
 
そう励ましてたっけな。俺を。
 
そうでも言わないと、彼女の気迫に、いや、存在に心がつぶされそうになってたんだ。
< 43 / 78 >

この作品をシェア

pagetop