喫茶冬景色
「あの、いい?」
 
・・・?
  
胸がドキドキする。
 
なんでだ?
 
公園には俺とアイツだけ。
 
他に見ているのは枯れた桜の木と昨日石蹴りの的にしてた時計だけ。
 
空は曇り、天気も悪い。
 
1+1は2だ。
 
隣の客はよく柿食う客だ。
 
それと、それと、それと、
 
 
「あのね。」
 
その一言が俺の意識を飛ばす銃弾のように思えた。
 
彼女が口を開くたびに俺の頭はどこか別の空間に飛んでいく。
 
彼女の唇の動きに縛り付けられていた。
 
「凄くびっくりすると思うんだけど、あのね。」
 
あのね?
 
「付き合ってるの?私たち。」
 
思ってもない一言。
 
いや、よく考えれば分かったことなのかもしれない。
  
お互いの気持ちなんてカケラも確かめ合ってないのだから。
 
「分かんない。」
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