喫茶冬景色
そもそも、俺は彼女が好きなのかすら怪しい。
 
「そっか・・・。」
 
そう言って、公園の時計を見つめた彼女が凄く切なそうに見えた。
 
「迷惑かもしれないんだけど。」
 
「うん。」
 
小さな背で手をまごつかせる彼女の唇はなんだか震えていた気がする。
 
「ちゃんと、付き合ってくれない?」
 
「うん?」
 
今、なんと?
 
「付き合って欲しいなって。」
 
「俺と?」
 
「うん。森君と。」
 
こう言うのって正式にオファーが来ましたって言うの?
 
喜ぶべきもの?
 
ただ、そのときに感じていたのは昨日よりも重くないって事だった。
 
むしろ。。。
 
「駄目?」
 
そう、俺を見上げる鈴木の真黒な瞳が潤んでいるのがよく分かる。
 
何をすればいい?
 
何を答えてあげればいい?
 
この震える小さな珍獣をどうすればいいんだろう?
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