喫茶冬景色
俺さ、俺、彼女に声掛けてよかったなって思えた。
 
成功って言えば、成功だろう。
 
これでアイツは一人で過ごさなくていい足がかりはついたのだから。
 
それはそれとして、俺たちの噂を広める新垣に一言、言わないとって思ってたんだけど、新垣の姿は昼休みが始まってもなかった。
 
ついでにエリザベスも。
 
俺にとって平和な一日。
 
エリザベスの存在は大きい。
 
俺は栗木と山根と弁当を食ってる鈴木に声をかけて
 
「新垣、見てない?」
 
と聞いたら、
 
「失恋休みじゃない?」
 
と、栗木から返ってきた。
 
「失恋?」
 
誰に?
 
「委員長。」
 
エリザベスか。
 
「ずっと、好きだったんだって。そう言えばあの人、委員長好きそうだったもんねぇ。」
 
「あ~、わかる。私もそう思ってた。」
 
彼女らが楽しそうに語るそれを聞いたときさ、ちょっとだけ新垣にやさしくできそうな気がしたよ。
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