喫茶冬景色
「マスター?マスターの永遠の恋ってなんですか?」
 
待っていたかのような質問にマスターは少しほころんだ。
 
「さっきも少し話たろ?娘たちにだよ。」
 
「ふふふ。マスター娘さん大好きですね。」
 
少しだけ笑った後、マスターはグラスを拭き始めた。
 
「綺麗な人、何ですか?」
 
「どうだろうねぇ。何せ10年くらい顔を見ていないからね。」
 
10年。その言葉がなんだか胸に刺さる。
 
「離婚したときにね。娘にはもう会わないでと言われているんだよ。」
 
そう聞いた時俺は、はっとした。
 
「すいません。なんか、こんなこと聞いて。」
 
「いや、君と娘が同じ年だって聞いたときからね少しだけ話したいなって思っていたところなんだよ。」
 
マスターは続けた。
 
「聞いてくれるかい?」
 
「俺でよければ聞きますよ。」
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