喫茶冬景色
私たちは悩んだよ。
 
どっちなんだと。
 
もしも私の子ならば喜んで迎え入れることが出来る。
 
しかし、そうでなかったら。
 
でもね、それは私だけの悩みだったのかもしれない。
 
彼女はね、受け入れたんだ。
 
新しい命を。
 
恨みのある犯人の子どもかもしれないのに。
 
「どうして?」
 
そう尋ねると彼女は言ったんだ。
 
「暴行は罪だけど、この子は神様がくれた大切な命だから私は生もうと思うの。」
 
それはね、命と共に生きている人だから言える言葉だったのかもしれない。
 
私には理解できなかったんだよ。
 
どうしてなんだろう。
 
罪人の半身と一生過ごすなんて考えられない。
 
罪人の子どもは罪の塊じゃないかってね。
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