喫茶冬景色
それからだね。
 
よく海に行くようになったのは。
 
「じゃあマスターが趣味のサーフィンって。」
 
「そうだね、ちょうど君くらいの頃からはじめたんだよ。」
 
そうやって娘にはずっと秘密にしていたんだけどね、母親の方は私の行為を素直に受け止めてはくれなかった。
 
何せ、ただ遊んでいるだけにしか見えないから。
 
昼間海に行くために仕事を変えて。
 
いつもきつく怒られたね。
 
「また、サーフィン?いい加減にしてよ!って。楽しかったのは間違いないけど。」
 
「ははは…」
 
娘が高校生の頃かな?
 
一度、喧嘩している所を遊びに来た友達に見られちゃってね。
 
娘にも怒られたっけ。
 
「パパ、いい加減にしてよ。お母さん泣いてたよ。」
 
って。
 
いつもなら、そんなんに言わないんだけどね、その日だけはむきになってた。
 
多分彼氏だろうね。
 
その日は、少しさみしかったよ。
 
「…。」
 
それから一年もしないうちに…ね。
 
結局、うまくいかなかったんだろう。
 
私たちは別れることになったんだ。
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