いつか君を忘れるまで
他人を泣かせるのは、本意ではない。

俺は、手塚に掛ける言葉を探した。

「やっぱり俺、ガキっぽいんですかね?この前、裕子サンに『弟みたい』って言われて。」

先に口を開いたのは、手塚だった。

『裕子サン』と言うのは、例の惚れた年上の大人な女性だろう。

「理想のタイプは、エスコートしてくれる大人でスマートな男性って・・・。」

大人でスマート。

まるで手塚とは正反対だ。

俺は、もう余計な事はいうまいと、喉まで出掛かった言葉を必死に飲み込んだ。
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