いつか君を忘れるまで
家に着いたのは、7時前だった。
小脇に、パートのおばちゃんが、『どうせ最近まともなもの食べてないんでしょ?』と言って渡してくれた、タッパー一杯の肉じゃがを抱えたまま、錆付いた外階段をカンカンと上っていく。
オンボロの安アパートだが、駅から近いし、家賃も安いので、結構気に入っている。
階段を登り切り、ふと顔を上げる。
と、2階の一番奥、俺の部屋の前に、夜の匂いが立ち込める派手な女性の姿が目に入った。
「りょーへー。おかえりぃ。」
俺の足音に気が付いたのか、フラフラと歩み寄る。
アルコールと、キツ目の香水を全身にまとったまま、首にしがみついて来た。
女性の名前はサオリさん。
おそらく俺と同年代。
職業、キャバクラ嬢。
「サオリさん、仕事帰り?」
「ん~。」
曖昧な返事をする彼女を、首にぶら下げたまま、部屋の鍵を開ける。
中に入ると、下駄箱の上に肉じゃがを置いて、俺は玄関の鍵を掛けた。
それが合図かの様に、サオリさんは俺に口づけをする。
絡み合う様な深いキス。
「どうしたの?今日はいつも以上に積極的じゃん。」
唇が離れると、俺は彼女の腰を抱き上げながら言った。
彼女からの返事は無い。
瞳は物悲しそうに床を見つめている。
その様子を見た俺は、状況を察した。
「そっか」と小さく言うと、サオリさんを抱きかかえ、布団になだれ込んだ。
小脇に、パートのおばちゃんが、『どうせ最近まともなもの食べてないんでしょ?』と言って渡してくれた、タッパー一杯の肉じゃがを抱えたまま、錆付いた外階段をカンカンと上っていく。
オンボロの安アパートだが、駅から近いし、家賃も安いので、結構気に入っている。
階段を登り切り、ふと顔を上げる。
と、2階の一番奥、俺の部屋の前に、夜の匂いが立ち込める派手な女性の姿が目に入った。
「りょーへー。おかえりぃ。」
俺の足音に気が付いたのか、フラフラと歩み寄る。
アルコールと、キツ目の香水を全身にまとったまま、首にしがみついて来た。
女性の名前はサオリさん。
おそらく俺と同年代。
職業、キャバクラ嬢。
「サオリさん、仕事帰り?」
「ん~。」
曖昧な返事をする彼女を、首にぶら下げたまま、部屋の鍵を開ける。
中に入ると、下駄箱の上に肉じゃがを置いて、俺は玄関の鍵を掛けた。
それが合図かの様に、サオリさんは俺に口づけをする。
絡み合う様な深いキス。
「どうしたの?今日はいつも以上に積極的じゃん。」
唇が離れると、俺は彼女の腰を抱き上げながら言った。
彼女からの返事は無い。
瞳は物悲しそうに床を見つめている。
その様子を見た俺は、状況を察した。
「そっか」と小さく言うと、サオリさんを抱きかかえ、布団になだれ込んだ。