いつか君を忘れるまで
暫くの沈黙の後、先に口を開いたのは彼女だった。

「手塚くん・・・だっけ?」

スンと鼻をすすりながら、ミホちゃんは視線を上げた。

「あのコと一緒。彼氏にフラれたの、私。」

『手塚と一緒』というフレーズには、些か疑問が残るが、彼女が傷心中なのは理解できた。

「そうなんだ。」

俺がそう言うと、ミホちゃんはゆっくりと話を続けた。

「2歳年下の学生だったんだけど、社会人の苦労とかも理解して貰えないし、会えば喧嘩ばっかり。最後には浮気されちゃって・・・。」

そこまで言うと、ミホちゃんは視線をしたに落とした。

「そっか。社会人の苦労って、学生には分かりにくいのかな?それに、こんなに可愛い彼女がいるのに、浮気しちゃいかんよね。」

俺はそう言いながら、そっとミホちゃんの髪を撫でた。
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