Your happiness is my happiness
そんなとき、ふたりの女子が近付いてきた。
「英斗くんたちは何番?」
直輝が握りしめていた紙切れを覗くひとりの女子。
作り物のような耳に響くキャイキャイした声だった。
コテで丁寧に巻いたであろう、クルクルした綺麗な髪。
パッチリな目。
普通に整った顔だ。
男ウケのいい女子。
男達は、可愛いと思うだろう。
でも俺は“ブリッ子”だと思った。
それが第一印象。
安達沙彩。
と、その友達の莉子。
「14番」
と言いながら、紙切れを沙彩に見せた直輝。
その瞬間目が大きく見開いた。
「うそっ!?わたしたちと同じ班だよ!!」
「じゃあよろしく」
「うん!よろしくね。楽しい修学旅行にしよーねっ!」
俺は、沙彩と顔を合わせた。
…沙彩のキメ顔。
「決まったかー?席着け~」
先生の声で、沙彩と莉子は自分たちの席へ戻った。