Your happiness is my happiness
「ねぇ。英斗くんて、美久ちゃんが好きなの?」
美久を見つめていたのに邪魔が入った。
沙彩が小声で聞いてきたのだ。
「ほっとけ」
俺は冷たく答えた。
「え~…美久ちゃんなのぉ~」
………はァ!?
『え~』って何だよ!?
沙彩は、怠そうに体を机に突っ伏して美久を睨んでいる。
「他人の恋なんて、ほっとけばいーだろ?」
俺はさらに冷たく、少し怒りが混じった声で言った。
「他人じゃないもん」
「じゃあ、なんだよ?」
そう聞くと、沙彩は急に体を起こし笑顔を俺に見せた。
作り物のような完璧な笑顔。
「見ててね?」
自分の筆箱からシャーペンを取り出す。
そして、なぜか俺の机の端っこに何かを書き出した。
「だから。他人じゃないのっ」
書き終わると笑顔でそう付け加えた沙彩。
俺は落書きを読む。
………は……?
“英斗くんのこと、好きになっちゃった”
そして、最後にはハートが書かれている。