Your happiness is my happiness
君に恋して
歩き慣れた通学路を歩く。
歩き飽きたというくらいの、この道。
でも。
俺だけの道。
「あ、英斗ーっ!おはよぉ!」
家の窓からひょこっと顔を出し、手を振っている美久。
「もう少し待ってねー?」
歯ブラシをくわえたままの美久は、口をもごもごしながら言った。
やれやれ…と思い手をひらひらと振り返す俺。
俺だけの、道。
俺の家から美久の家までの道は。
朝は必ずふたり。
毎日毎日、ふたりで登校してから12年が経つなぁ…
と、ふと思った。
「お待たせっ!」
玄関が勢いよく開き、美久が出てきた。
「おはよ」
「おはよ~!」
この、美久の笑顔。
朝から俺を殺す気かぁ?
かわいすぎんだろ…。
「なぁ、今日で12年目だよ。知ってた?」
「何が?」
とぼとぼ通学路を歩き出しながら、目をまん丸くして見つめてくる美久。