Your happiness is my happiness
怠い始業式も終わり、俺達は教室に戻ってきた。
いすを後ろに倒しながら、俺は大きく手を広げ伸びをする。
「あぁ~。疲れたぁ~…」
「長いもんな」
俺の前の席は、嬉しいことに直輝だ。
名字が“星”だから、だいたい俺の前の席になる。
教室に先生が入ってきた。
「みんな始業式お疲れ様。次は、修学旅行の班決めをします」
普通の学校は、修学旅行は2年のときに済ませる。
だが、この学校は3年で行く。
不思議な学校だよな。
「男子、女子で2人組で組んで。そのあと、クジでくっつけます」
それだけ言い残すと先生は教壇のいすに座った。
「直輝。組もうぜ?」
直輝の背中に声をかける。
「いいよーっ!」
笑って振り向いた直輝。
「どうせ、花恋と美久は一緒に組むよな?」
花恋の姿を見つめながら直輝は言った。
「そうだと思う」
俺も美久を見つめる。
花恋と笑顔で話している。
「なんか…中2の東京見学みたいじゃね?一緒に行けたらいーな」
そんなことを言う直輝の顔はとても穏やかだった。
「うん。だな」
本当に一緒に行けたらいいな。