Your happiness is my happiness
でも…俺クジ運悪いからな。
昔っからいいクジを引いたことが無い。
「じゃあ、クジをひいてください。女子と男子で別れてね~」
先生お手製のしょぼいクジが教壇の上に置いてある。
みんなは列を作り、それを引いていく。
「直輝。お前が引いてこい」
「はぁ~!?俺はダメだよ。クジ運悪いもん」
直輝は眉間にシワを寄せ答えた。
「マジかよ…俺もなんだよ」
がっくりして、机にだらんと体を預けた。
「英斗、どうする?どっちが引く?」
解決法が無い。
最後の修学旅行。
絶対に、美久と花恋の班と行きたい。
「じゃーんけーん…」
右手だけを直輝に出し、俺は言った。
そして、手でピースを作った。
「どっちが勝った?」
机にうつ伏せになっているため、勝敗が見えない。
「英斗」
…俺か……。
こんな時だけ、じゃんけんが強い。
でも、勝ったというだけで今日はついている日かもしれない。
そう信じて俺は席を立った。