赤い狼 参
さっきから思っている自分の気持ちの正体が何なのか自分で理解しようとする。
でも、不思議な事に分からない。
好き?
…違う。
棗の事は好きだけど恋愛としては違う。
同情?
…違う。
…じゃぁ、何?
分からない。
好きじゃないのに安心する。
同情じゃないのにキスしてる。
胸の奥にある、このモヤモヤは何?
棗に伸ばしているこの手の意味は何?
棗が私の体に触れれば触れる程、落ち着いた気持ちになるのは何故?
棗の背中に腕を回しながら必死に考える。
正体不明な自分の気持ちに頭がパニクる。
それなのに。
「んんっ、ふっ…」
生暖かい、棗の舌が私の口の中に入ってきて歯の裏の歯列をなぞる。
ゾクゾクッと背筋に電流が走る。
「やぁっ…んっ、」
頭に警告の鐘が鳴る。
でも、もう頭が真っ白で何も考えられない。
ただ、棗の動きにだけ反応してしまう。
棗の舌が私の口内で激しく、暴れる。