赤い狼 参





意味が分からず部屋をキョロキョロと見渡していると




「気を失なったんだよ~。隼人が珍しく慌ててるからビックリしちゃった。」




奏が心配そうに眉を下げながら説明してくれた。





気を失った?



私が?




塚、昨日何があったんだっけ…。




昨日の出来事を思い出してみる。





……………






そうだ、昨日…棗とキス…したんだっけ?




そしてあの後…





昨日の事を思い出していると、気を失う前の出来事を思い出して恥ずかしい思いと、怖い思いが一気に込み上げてきた。





思わず、身震いをする。





「大丈夫か?」




そんな私の様子を見た連が優しく、頭を撫でながら心配そうに顔を覗いてきた。




「…大丈夫。」




連に心配を掛けたくないから微笑む。



でも、その微笑みは嘘とか作り上げた笑いじゃなくて。





連の温かくて、大きな手に安心した微笑み。




…人ってこんなにも温かいんだな。





少し長く目を閉じて連達を見れば、三人共心配そうに私を見つめていて。



あぁ、私は皆に想われてるんだな。


と少し泣きたくなった。






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