赤い狼 参





…うん。やっぱり、信じたくないなぁー。




ニッコリと女の子より可愛ぃ笑顔を私に向けて笑っているある人物を見て、頭をブンブンと振る。



きっと何かの間違いに違いない。


空耳か何かだ。




自分に言い聞かせるように心の中で呟く。



でも、その望みはあっさりと銀の言葉によって崩れ落ちてしまった。



「おぃ、奏。


稚春ちゃんの顔が不細工な事なんて、最初から分かってる事だろ。今更、何言ってんだよ。」



頭カチ割ったろか。



最初から分かってたってどういう事だ。



お前等二人、海に沈めたろか。


塚、本当に奏だったんだね。


稚春お姉さん悲しいよ。



あまりのショックさに変顔をまた再開してしまったじゃないか。どうしてくれるんだ。





沸々と沸き上がってきている怒りを感じながら、奏と銀から視線を外す。



そして、目に入ったのはポカーンと口を開く連。



…まだ口を開いてたのか…。




半ば呆れながら連を見つめる。



…まだ口閉じないし。






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