赤い狼 参
心の中で祈る。
一生の思い出として、残しておきたい。
これから辛い事があった時に思い出して、頑張る力にする為に。
「稚春、ボーとして大丈夫か?」
「痛っ!」
突然頭に衝撃が走った。
その原因は隼人が私の頭をグーで叩いたからで。
コツンッじゃなくて、ゴツンッと鈍い音がした。
…んにゃろう。覚えてろ。
たんこぶ出来たら責任とってもらうからな。
ギロッと隼人を横目で睨むと、ハハハッと笑っていた。
………ま、いっか。
隼人、元気になったみたいだし。
優しい稚春は隼人を許した。
うん、まぁ私、心広いから。
ふふん。とどや顔をする。
塚、隼人こんな処見せてごめんって謝ってきたけど多分この場所に誰かが居たとしても、隼人を止められなかっただろうし、止まらなかったと思う。
だって、顔を上げた時の隼人の目、一緒だった。
棗の…
"寂しい""側に居て"っていう目と。