赤い狼 参
そして…
「覚悟ぉおおぉ!」
「お前、俺をナメるのも大概にしろよ。」
私が隼人に襲いかかるのと同時に、隼人がニヤリと笑った。
ハッと不穏な空気に気付き、隼人から遠ざかろうとした…――けど、
遅かった。
「ぎゃぁ!」
私の手を隼人が素早く掴んで前に引っ張る。
それが原因でバランスを崩してしまった私は、隼人に倒れかかった。
…多分、それがいけなかったと思う。
衝撃を覚悟していた私は、目を固く瞑っていたから、状況がよく分からなかったけど…
目を開けた瞬間に、私がどういう状況に置かれているのかよく分かった。
「は、離して!」
この状況から早く逃れたい私は、勿論、必死の抵抗。
でも、大魔王隼人が素直に従ってくれる筈もなく。
「…っ、静かにしとけ。暴れるな。」
ジタバタと暴れる私を、手や足を使って静めようとする。
…痛い、非常に痛い。
足が絡まってて痛い。
手が思いっきり掴まれてて痛いよ、私は。