赤い狼 参
:再会
「ゆ…うっ。」
「何?」
「ヒック、逢…いたかったぁ…っ…。」
「…うん。俺も。」
私の手を引いて二階の奥にある部屋に向かう祐の背中を見つめる。
…嘘つき。
俺も。なんて思ってないくせに。
顔に出てるんだよ、祐…お兄ちゃん。
「祐。」
「ん?」
「私に…逢いたくなかった…?」
せっかく涙が引いたのに、また泣きそうになる。
でも、本当の事を言って欲しい。
嘘を付かれる方がもっと…辛い。
でも…"うん"だなんて言って欲しくない。
…我が儘でごめんね。
ゆっくりと祐の方を見る。
すると祐は困ったように少し笑った。
「…うん。ちょっとな。今は逢いたくなかったかな。」
「……どうして?」
やっぱり、泣きそう。
覚悟はしていても、実際言われるとキツい。