赤い狼 参
「お前、俺が何の為にあの家出てったか知らねぇだろ。」
凄く真剣な顔をして私を見つめてくる祐は、懐かしい、私が祐の事を"祐お兄ちゃん"と呼んでいた頃と変わっていない。
そう思うと、また涙腺が緩んできた。
此所に、近くに、ずっと捜してた祐が居る。
こんな、近くに。
「何で出ていったの?」
私、祐の事、大好きだったんだよ?
あの家には、祐しか、味方が居なかったのに。
まだ私、10歳だったのに。
確かあの時、祐は12歳だったよね。
あれから…
7年経ったよ。
何処に住んでたの。
7年間、何をしてたの。
少し痩せたね。
ちゃんとご飯食べてるの?
聞きたい事はいっぱいあるんだから。
全部、残らず話してよ。
そんな気持ちを込めて、祐の目を見つめる。