赤い狼 参
…は?
これってもしかして…
「稚春、お前照れてんのか?」
頭に浮かんだ考えを口に出すと、稚春は
う、煩い!
と焦って自分の顔を両手で隠した。
何だ、コイツ。
………可愛ぃじゃねぇか。
両手で顔を隠してる稚春を見ていると、こっちが照れてくる。
つぅーか…
「こんな状況でそんな仕草、反則だろ。」
ボソッと小さく呟く。
…ヤベェ。
かなり、可愛ぃ。
耳まで真っ赤にさせて、その場に座りこんでしまった稚春を見て、かなり限界を感じる。
…触りてぇ。
不意に、そんな単語が頭に浮かんできて、
「稚春。」
気付いたら口が勝手に動いていた。
「…何?」
指の間から目だけを出して稚春の目線まで合わせる為に、かがんだ俺を上目遣いで見てくる稚春にどうしようもなく触れたくなる。
「悪かった。だから…こっち来い。」
とにかく、今は触りたい。
抱き締めたい。
そんな事だけしか頭に無かった俺は
「え、今は顔が赤いから無…ギャッ!」
稚春が何かを言っている間に、稚春の腕を引っ張って抱き締めた。