赤い狼 参
「…何処に住んでたの?」
「…言いたくねぇんだけど…引くなよ…?」
祐は困ったような表情を見せて笑う。
「引かないよ。引く訳無いじゃん!」
そう言って祐の方を向くと…――
「ん。ありがとな。」
とても柔らかく笑った。
思わず、その笑顔に見とれる。
「うん…。で…?」
「あぁ、うん。で、路地裏通ってたら、そん時たまたま女が声掛けてきたんだ。
「私の家に来なよ。でも、その代わり家の事してくれるならね。」
ってな。」
「…それで、その人の家に住んでたと…。」
「あぁ。まぁ、そんな感じだ。」
「ふぅーん。その女の人に感謝だね。」
「…あぁ。」
祐は、私が引かなかったから安心したのか、軽く息を吐いた。
…でも、今の話を聞いて、一つ、疑問に思った事がある。
「…祐、もしかしてその女の人と付き合ってたりして…。」
そう口にした瞬間、祐の体が少し、震えた。
…怪しい。