赤い狼 参





「何よ、それ!隼人が勝手に私を彼女にしたんじゃない!


なのに、付き合ってるからキスしてぃぃ?ふざけないで!


そういう事はお互いが好きで愛し合ってるからこその行動でしょ!?私と隼人は違う!」




はぁ、はぁ、と息を乱しながら叫ぶ稚春は何かを思い出しているようで。



「分かった、もうぃぃから。俺が悪かった。」



なんとか止めようと謝る。



「…っ、何なのぉ。」



それでも息を乱している稚春にそっと近付き、そのまま稚春の背中に手を回す。



「…わりぃ。稚春の事、ちゃんと考えてなかった。…ごめんな?」




ポンポン、と稚春の頭を一定のリズムで擦る。



「…っ、ヒクッ、」




呼吸の乱れは止まったが、次は涙らしい。



…忙しい奴。



どんだけ俺を振り回せば気がすむんだ。


と少しイラッときたけど、稚春が俺の背中に手を回してしがみついてきたから許してやる事にした。




でも、それで困った事が一つ。



…胸が当たってんだけど。



こんな時に不謹慎な事を考えるなよ…。と思う奴も居るだろうが…



俺も男だ。



こんなに分かりやすく感触があったら男なら誰だってそんな事を考えるだろう。




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