赤い狼 参
頭を抱えながら落ち込む。
すると、
「いや、稚春も可愛くなったよな。」
ビックリする言葉が頭上から降ってきた。
思わず、俯いていた顔をマッハで上げる。
「え?空耳?」
嘘かと思って祐を見ると
「いや、空耳じゃねぇよ。稚春、すげぇ可愛くなった。」
私の髪の束を取って毛先に軽く、キスをした。
…祐ってこういう事言う人だったっけ?
驚きのあまり、目をパチパチと高速で開けたり、閉じたりする。
「…そうかな?」
自信無さげに呟くと、
「そうだって言ってんだろ?俺の言う事が信じらんねぇの?」
祐は私の髪から手を離して、首の後ろに手を置いた。
…祐が触れている首の後ろが熱い。
恥ずかしくなってきて祐から目を逸らそうとしたら、
「稚春。」
祐が7年前とは違う、心地ぃぃ低い声で私を呼んだ。
「何?」
仕方なく、祐に視線を向けると、祐の真剣な目が私を見つめていた。
心臓が大きく揺れる。