赤い狼 参





「さよなら。」




―――…結局、呆気なく俺の初恋は散った。




恥ずかしいが、俺が愛したのは麻美だけで。



全て麻美が、俺の初めてだった。



そんな俺を同級生は"一途"とか、"素敵"とか言うけど。


俺は、"何が素敵なんだ"としか思わなかった。



だって、酷な話じゃないか?



今まで、愛した女は麻美だけ。


愛した身体も、麻美だけだ。



一生、麻美に縛られて生きていくのか?



麻美が出ていってから何日か経ったある日、ふと疑問がよぎった。




そして、行き着いたのは




「そうだ、麻美が他の男を愛したんだ。俺も、違う女を愛せばぃぃ。」




最悪な答えだった。





…それから、色んな女を家に連れ込んではヤった。



ヤってヤってヤって…




麻美を忘れようとした。



でも、忘れられなかった。

逆に、やっぱり麻美じゃないとと思い知らされただけだった。



麻美はこんな声じゃない。


こんな温もりじゃない。


こんな感じ方じゃない―――…




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