赤い狼 参
で、結局…得たモノなんて何も無かった。
連は俺と全く口を聞かなくなった。
そして、俺が家に連れ込んでた女共に強制的にヤられてしまった。
俺の心も満たされない。
逆に、乾いていく――…
俺は、馬鹿だったんだと思う。
今なら、ハッキリと分かる。
あの頃の俺は、自分の心を守るのが精一杯で連の事なんか気に掛けていなかった。
そして、馬鹿な俺は失いかけてから気付くんだ。
昔誓った、俺の夢は何処にいったんだ。と…―――
家族を俺の手で、守る。
そう誓った筈なのに、逆の事をしている俺自身に嫌悪感を抱いた。
自分を、責めた。
でも、そんな俺を連は決して責めなかった。
連が女共にヤられたあの日、変わり果てた連を抱き締めながら謝る俺に、連は涙を流しながら
親父、助けてくれてサンキュ。
と言ってくれたんだ。
あの日の事は、忘れない。
いや、忘れる事が出来ない。
連には深くて重い、心の傷になってしまったが、今まですれ違っていた俺と連の気持ちが、確かに初めて繋がった瞬間だったんだから。