赤い狼 参
:槙原家の食卓
「…こんなもんかな?」
ふうー、と息を吐きながら邪魔だからと結んでいた髪をほどく。
そしてリビングへと行き、机に作ったおかずを並べていく。
…作りすぎちゃった感じ?
机に並べて焦る。
こんなに食べられるんだろうか。
そういえば連のお腹の入り具合や、勿論、あの男の人の食べっぷりを知らない。
「…聞いとけば良かったな。」
男の人にどのくらい食べるのか聞いていたら、それを基準にして作れたのに。
そう思い、早く気付けよ。とため息を漏らす。
本当に私は計画性がない。
自分に呆れながらリビングのテレビの前にあるソファーに腰を掛ける。
…私、連の事、何も知らないんだな…。
そう思うと、なんだか寂しく感じた。
「あー…、さっぱりぃ…って、おぉーーっ。」
「あ、あがったんですね。お帰りなさい。
ご飯、作ったんですけど……」
多いですかね?と言う前に
「おぉおっ。稚春ちゃん、すげぇよ!俺、久しぶりに感動した!」
瞳をキラキラさせてこっちを見てきた。