赤い狼 参
そう思っていると男の人はそれが分かっているかのように
「それが普通って思える事が素晴らしいんだよ。」
フフッ、と笑った。
エスパーだ。エスパーが此所にも居る。
そう思いながら男の人を見ていると
「稚春ちゃん、顔が困惑してる。」
プッ、と笑われた。
え。
そんなに私の顔、ヤバい?
目の前でクスクスと笑っている男の人を見ながら固まると
「稚春ちゃんなら、安心かな。」
男の人はまた、主語がない台詞を呟いた。
「え?」
何の事を言っているのか分からない私は、男の人に疑問の眼差しを投げ掛ける。
「いや。うちの息子をよろしくな。」
「はい?」
「ん?駄目かい?」
眉を下げてこっちを見つめてくる男の人。
「いや、そうじゃないです。でも、うちの息子っていうのが…って、ん?」
「あれ。言ってなかった?息子っていうのは連だよ。」
「……へっ!?」
ハッハッハッ!と笑っている男の人を見て、目を見開く。