赤い狼 参
「ハハッ。分かってるって。ありがとな。」
祐はそう言って笑ってたけど、私は何だか申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
…言わなかった方が良かったかな…。
そんな、気持ちでいっぱいになった。
「そういえば、お前何であんな所に居たんだ?」
祐が話の話題を変えた。
…無理してるのがバレバレだよ、祐。
でも、敢えてその演技に乗っかった。じゃないと、祐の親切が台無しじゃん。
その優しい気遣いを無下にしたくない。
「…えっと…、あれには深い訳がありまして…。」
「どんな?」
さっきまで祐の心配をしていた私だけど、祐の心配をしている暇なんて無いかも。
…タラリ。
冷や汗が背中を伝う。
「知らねぇ人に付いてくなってあれほど言ったよな?」
「はいぃ。」
「じゃぁ何でアイツ等と一緒に居たんだ?」
祐の鋭い視線が刺さる。
い、痛い…。