赤い狼 参
…食べちゃおうか。
折角、温めなおしたご飯がまた冷めて台無しになってしまう。
そう思って野菜炒めに手を伸ばして口に運べば…
「ん~、美味し~。」
自分で言うのもなんだが、結構な美味しさだった。
すると、その様子に気付いたのか誰かが私に後ろから乗っかってきた。
何故。
「ぐぇっ!」
重い体重に押し潰されそうになりながらも後ろを振り向く。
「ちょっ、苦しい…。連…。」
私に乗っかっていたのは連だった。
塚、重いんですけど。
あんた、どんだけ身長でかいと思ってんの。
うぅっ、と時折漏れる苦しげな声に連は気付いてくれない。
おいコラ、気付けや。
なかなか退かない連を睨むと
「なぁ、稚春!食べてぃぃか?」
キラキラとした瞳を向けられた。
私は、この目に弱い。
というか親子揃って同じ表情するのか。
なんてこった。
はぁー、と小さくため息をつく。
駄目だ。槙原家に勝てる気がしない。