赤い狼 参
和宏さんが連に向けるその優しい目は、父親そのものを表しているようで。
不覚にも、"ぃぃな"なんて思ってしまった。
私の親もこのぐらい愛してくれればな…―――
なんて。
無理な事を私はまた、願ってしまう。
馬鹿だな。
「稚春ちゃん。」
呼ばれた方に視線を持っていけばﾌﾜｯと和宏さんの大きな手が私の頭を優しく撫でる。
それが、私を元気付けてくれているようで。
「…ありがとうございます。」
私のモヤモヤした気持ちをみるみる内に無くす。
