赤い狼 参
「どちら様…でしょうか…。」
取り敢えず、分からないフリをしてみる。
『お前…馬鹿にしてんのか?』
「ひいっ!」
さっきよりも低くなった声に思わず裏返った声が出てしまった。
「馬鹿になんかしてないです!」
『ほぉ~?』
え。何だ、その疑った感じの声は。
「信じてないでしょ!」
『あぁ。全く。』
ちーん。
はい、今ちょっとダメージ受けたよ。
「で、何の用事なんですか?」
ムカついて少し怒り気味に言ってやった。
そう、わざと。
『あ゙ぁ゙?んで稚春が怒ってんだ。こっちが怒りてぇよ。』
でも、この一言で私は大人しくなってしまうんだ。
「すいませんでした。」
素早く謝った私に、拓磨は
それでぃぃんだ。それで。
と言って鼻で笑ったのが分かった。
……コイツ、性格悪くなってやがる。
あの天使の拓磨は何処にいったのか。
軽く、ショックだ。
『稚春、約束忘れてねぇか?』
「ん?」
約束…?
なんてあったっけ?
塚、約束って何の約束?