赤い狼 参





ん?


と首を傾げる。




『どうせ、忘れてたとか言うんだろうが。』



「い、言わないよ!」




まるで私が首を傾げているのを見ていたかのような拓磨の言葉に少し動揺する。




『いや、忘れてたな。』



「忘れてないって!」



『じゃぁ、何の約束か言ってみろよ。』



「うぅっ、」




駄目だ。言い逃れできない。




「…分かりません。忘れてました。」



『…馬鹿。』




馬鹿って。馬鹿って言わないでよ。


そんなにため息ついてさ。



そう思うけど、言えない。


絶対殺されるから。




『で、どうだ?』



「何が?」



『…。』




あ。また、ため息ついた。



電話の向こうで


はぁ…。


と大きくため息をついた声が聞こえる。



こっちがため息つきたいんですけど。

その、暴走族特有の主語なし会話、止めて頂けませんかね?



そう思うけどそれは口に出せない。



だって、さっき言ったように絶対殺されるから。





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